「きょうも、入れないって言われた」。子どもが仲間外れにされたと話した瞬間、親の胸はぎゅっと痛みます。すぐに相手の家に電話したくなる人も、言葉が出なくなる人もいるはずです。
「もっと早く気づけばよかった」「うちの子にも原因があるのかな」。そんな思いが頭をよぎるかもしれません。でも、子どもが話してくれたこと自体が、親を頼りにしているしるしです。今からできることは、たくさんあります。
大事なのは、順番です。慌てて解決に走ると、子どもは「話すと大ごとになる」と感じて、次から話さなくなることがあります。反対に、順番さえ押さえれば、親は落ち着いて動けます。
この記事では、話の聞き方、言わないほうがいい言葉、本人の希望の聞き方、いじめにあたるかの線、学校に伝える前のメモ、相談先を、言葉の例と一緒に紹介します。
最初にするのは、解決ではなく、最後まで聞くことです。
子どもが仲間外れにされたときの親の対応は、四つの順番で
子どもが仲間外れにされたと話したら、次の四つを、この順番で進めます。全部を一晩でする必要はありません。今夜は1と2だけでも十分です。
- 途中で助言せず、最後まで聞く。
- 子どもを責めない、決めつけない。
- 本人が「どうしたいか」を聞く。
- 事実をメモにして、学校に伝える。
文部科学省のいじめ防止の基本方針は、いじめは「どの子供にも、どの学校でも、起こりうるもの」としています。同じ方針は、国立教育政策研究所の追跡調査にもふれています。仲間外れ・無視・陰口について、小学4年生から中学3年生までの6年間に、一度も被害を受けなかった子は1割ほどでした。
つまり、仲間外れにされるのは、特別な子だけではありません。ただし、これは「よくあることだから大丈夫」という意味ではありません。どの子にも起こりうるからこそ、親のいちばんの役目は話してくれた子を責めずに守ることです。
仲間外れの話は、途中で助言せず最後まで聞く
子どもが話し始めたら、まず聞くことに集中します。アメリカ小児科学会の保護者向け資料も、最初に「何が、いつ起きたか」を聞き、子どもの見方を、決めつけずに聞くことをすすめています。この段階では、まだ何も解決しなくてよい、とも書いています。
聞くときに使える言葉
- 「話してくれてありがとう」
- 「それで、どうなったの?」
- 「もう少し、聞かせてくれる?」
- 「そのとき、どんな気持ちだった?」
- 「それは、つらかったね」
質問は一つずつにします。「誰に?いつ?何て言われたの?」と続けて聞くと、子どもは問い詰められているように感じます。
話してくれない、途中で黙ったら
恥ずかしさや悔しさで、すぐには話せない子もいます。そのときは「話したくなったら、いつでも聞くよ」と伝えて、その日は終わりにします。
一緒にお風呂に入る、寝る前に横に並ぶなど、目を合わせなくていい時間のほうが話しやすい子もいます。学校の話を少しずつ聞く方法は、「学校どうだった?」に「何もない」と返ってくるときの聞き方にまとめています。
仲間外れにされた子に、言わないほうがいい言葉
心配や怒りから出た言葉が、子どもには「自分が悪かった」「話さなければよかった」と届くことがあります。よくある言葉と、言い換えの例を表にしました。
| 言ってしまいがちな言葉 | 子どもにどう届きやすいか | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「あなたも何かしたんじゃない?」 | されたのは自分のせい | 「そうだったんだね。それからどうなったの?」 |
| 「気にしなければいいよ」 | つらい気持ちは、言ってはいけない | 「それは悲しかったね」 |
| 「やり返しなさい」 | 自分で何とかしないといけない | 「危ないときは、離れて大人に言っていいよ」 |
| 「そんな子と遊ばなくていい」 | 本当は一緒に遊びたい気持ちが置き去り | 「本当は、どうなったらいいなと思う?」 |
| 「明日、相手の親に言ってくる」 | 話すと大ごとになる | 「どうするかは、一緒に決めよう」 |
つい言ってしまっても、取り戻せます。「さっきは、あなたが悪いみたいに聞こえたね。ごめんね」と言い直せば、子どもは次もまた話しやすくなります。
アメリカ小児科学会の資料も、いじめは「子どもによくあること」で片づけたり、言いわけで流したりしてはいけないとしています。仲間外れはされている子の落ち度ではありません。
仲間外れのあと「どうしたい?」を本人と決める
話を聞き終えたら、次は本人の希望を聞きます。親が先に動くと、子どもは自分の困りごとを取り上げられたように感じることがあります。
「どうしたい?」だけでは答えにくい子には、選べる形で聞きます。
- 自分で先生に話す
- お母さんやお父さんから、先生に伝える
- 先生に、見ていてもらうだけにする
- まずはメモをつけて、〇日にもう一度話す
「先生に言わないで」と言われたら
子どもが「言わないで」と頼むのは、もっと悪くなるのが怖いからかもしれません。それでも、親が「誰にも言わない」と約束するのは避けます。
いじめ防止対策推進法では、保護者が子どもからいじめの相談を受け、いじめの事実があると思われるときは、学校への通報などの適切な対応をとるものとされています。だからこそ、黙っておくかどうかではなく、伝え方を子どもと一緒に決めることに力を使います。
たとえば、「先生にだけ伝える」「みんなの前では話題にしないでと頼む」「名前を出す前に、先生に様子を見てもらう」などです。決めたことは、メモにも書いておきます。
もしまた同じことが起きたら、の練習
もし次にまた「入れない」と言われたら、どうするか。一つだけ決めておくと、子どもは少し安心できます。
アメリカ小児科学会の資料では、「やめて」と短く言う、落ち着いてその場を離れる、信頼できる大人に話す、という流れを、家で一緒に練習する方法を紹介しています。ただし、できなくても子どもの失敗ではありません。止めるのは大人の役目です。
仲間外れはいじめにあたる?法律の定義で見る線
「これって、いじめなのかな」と迷う親は多いかもしれません。日本には、いじめ防止対策推進法という法律があり、いじめの定義が書かれています。
| ポイント | 法律の定義の中身 |
|---|---|
| 誰から | 同じ学校に通っているなど、一定の関係のある子どもから |
| 何を | 心や体、持ち物などに影響を与えることをされた(ネットを通じたものも含む) |
| された子は | 心や体に苦しさを感じている |
文部科学省の基本方針は、いじめの具体的な例として「仲間はずれ、集団による無視をされる」を挙げています。また「一定の関係」は学校の中だけでなく、塾やスポーツクラブなどの仲間も含むとしています。
法律の定義には「何回以上」という決まりはありません。つまり、仲間外れはいじめにあたることがあります。
なお、この法律の「学校」は小学校から高校までで、幼稚園は入っていません。保育園や幼稚園での出来事は、法律の手続きとは別に、同じメモを使って園の先生に伝えます。
仲間外れを学校に伝える前に、事実をメモに残す
先生に伝えるとき、いちばん役に立つのは、親の気持ちより事実です。「いつ・どこで・だれが・何を」を、子どもの言葉のまま書いておきます。
仲間外れのメモに書く六つ
- いつ:日付と時間(例:10月14日、2時間目のあとの休み時間)
- どこで:場所(例:校庭のすべり台の前)
- だれが:かかわった子(分かる範囲で。分からなければ「同じクラスの3人」)
- 何を:言われたこと・されたこと(子どもの言葉のまま)
- そのあと:子どもがどうしたか、誰かに言ったか
- 本人の希望:先生にどうしてほしいか、してほしくないこと
| 気持ちが先に出たメモ | 事実のメモ |
|---|---|
| ずっと意地悪されている | 10月10日から14日の休み時間、鬼ごっこに入ろうとすると「ひよりちゃんは入れない」と言われた(本人の話) |
| クラスでいじめられている | 同じ班の3人が、給食の時間に本人とだけ話さない日が2回あった(本人の話) |
| ひどいことを書かれた | 10月12日夜、クラスのグループのメッセージに本人の悪口が書かれた(画面を保存済み) |
メッセージアプリやSNSでのことなら、画面を保存しておきます。物を隠された、こわされたときは、その物の写真を残します。
子どもの話を、取り調べにしない
メモのために、子どもを何度も問い直す必要はありません。話してくれた分だけを、日付をそえて書けば十分です。
「本当に?」「前と言ってることがちがうよ」と確かめると、子どもは疑われていると感じます。事実を確かめるのは学校の役目です。親は、聞いたことをそのまま渡せば大丈夫です。
仲間外れを先生に伝えるときの話し方と、その後
メモができたら、担任の先生に伝えます。連絡帳だけで済ませるより、電話や面談で話すほうが、先生も聞き返しやすくなります。
伝える言葉は、たとえば次のような形です。
- 「〇日から〇日の休み時間に、こういうことがあったと本人が話しています」
- 「本人は、先生には知ってほしいけれど、みんなの前ではいやだと言っています」
- 「学校での様子を、見ていただけますか」
- 「次は、いつごろ様子を教えていただけますか」
最後の一言が大事です。連絡をもらう日を決めておくと、親が一人で待ち続けずにすみます。
法律では、学校はいじめの通報を受けたとき、事実があったかを確かめる手立てを速やかにとることになっています。その結果は、学校の設置者(公立なら市区町村など)に報告されます。
基本方針では、謝っただけでは「解消した」としません。いじめの行為が止まってから少なくとも3か月を目安に様子を見ることと、された子が苦しさを感じていないかを面談などで確かめることが求められています。
一度の謝罪で終わりにされたように感じたら、「その後の様子も、しばらく見ていただけますか」と頼んでかまいません。先生とのやりとりは、学校で泣く小学生と先生の連携の例も参考になります。
年齢で変わる仲間外れへの親の関わり方
同じ仲間外れでも、5歳と11歳では、子どもの話し方も、親が前に出る度合いも変わります。下の表は、この記事で考えた目安です。
| 年齢 | 聞き方 | 本人の加わり方 |
|---|---|---|
| 5〜6歳(保育園・幼稚園) | 「誰と、何して遊ぼうとしたの?」と、遊びの場面を聞く | 親から園の先生に伝え、遊びの場面を見てもらう |
| 小学校低学年 | 「いつ」「どこで」を、一つずつ聞く | 先生に伝える内容を、本人と一緒に決める |
| 小学校高学年 | 話したい分だけ聞き、急がせない | 誰に、何を、どこまで伝えるかを本人が選ぶ。親は手伝い役にまわる |
高学年になると、親が学校に行くこと自体をいやがる子もいます。そのときも、本人の安全が守れないときは親が動く、という線だけは先に伝えておきます。
「仲間外れにされた」と話したひよりに、家族が最初にしたこと
お風呂の時間、ひよりが湯船の中で小さな声で話し始めました。
脱衣所で聞いていたけいすけは、すぐに言いました。
ひよりは少し考えて、「先生には言ってほしい。でも、みんなの前ではいや」と答えました。けいすけは、自分が先に動こうとしていたことに気づきました。
その夜、両親はひよりの話をメモにしました。日付、休み時間、鬼ごっこ、言われた言葉、そして「みんなの前ではいや」という希望です。翌朝、けいすけが担任の東先生に電話をしました。
この場面で変わったのは、話の持ち主です。けいすけが一人で動いていたら、ひよりの困りごとは大人同士の話になっていたかもしれません。本人の希望を先に聞いたことで、ひよりは自分の話を自分で守れました。
仲間外れが続くとき、つらそうなときの相談先
学校に伝えても様子が変わらないときや、子どもの体や生活に変化が出ているときは、学校の外にも相談できます。
子どもが仲間外れにされたときに、相談を急ぐ目安
すぐに相談・受診
- 叩かれる、けがをさせられる、お金や物を取られる、脅されるなど、身の安全が守れない
- 「死にたい」「消えたい」と話す、自分を傷つけている
早めに相談
- 仲間外れや無視が、何日も続いている
- 学校に行きたがらない、朝になると頭痛や腹痛を言う日が続く
- 眠れない、食欲がないなど、体や生活に変化が出ている
- メッセージアプリやSNSで、悪口や写真を広げられている
- 学校に伝えても、様子が変わらない
記録しながら相談を検討
- 一度きりの出来事で、本人が翌日には元気に過ごせている
- 困ったら話せる大人がいると、本人が分かっている
- メモを続け、学校と次に話す日を決めている
自殺のおそれがあるときは一人にせず、医療機関などへ急いで相談します。命に関わる緊急時は119番です。学校での仲間外れについては担任、学年の先生、養護教諭、スクールカウンセラーへ。学校に言いにくいときや夜間・休日は、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)に子どもも保護者も相談できます。法務省のこどもの人権110番(0120-007-110、平日の8時30分〜17時15分)もあり、保護者も相談できます。事件・事故として今すぐ助けが要るときは110番、緊急でない警察への相談は#9110です。
不安で眠れない、学校のことを考えるとおなかが痛くなる日が続くなら、子どもの不安が強いときの対応も役に立ちます。窓口に迷うときは、子育ての悩みの相談先の選び方で見比べられます。
今夜できることは一つです。子どもが話してくれたら、最後まで聞いて「話してくれてありがとう」と伝えてください。メモも、学校への連絡も、その後で間に合います。
子どもが仲間外れにされたときのよくある質問
仲間外れにされるのは、子どもや親に原因があるからですか?
仲間外れは、されている子の落ち度ではありません。文部科学省の基本方針も、いじめはどの子にも、どの学校でも起こりうるとしています。原因探しより、話してくれた子を責めずに守り、事実をメモして学校に伝えることを先にします。
相手の子の親に、直接連絡してもいいですか?
まずは学校に伝えることをすすめます。法律では、学校は通報を受けたら事実を確かめる手立てをとることになっています。親同士で直接話すと、事実の受け止め方がちがって話がこじれることがあります。
「先生に言わないで」と言われたら、黙っていたほうがいいですか?
誰にも言わないと約束するのは避けます。法律では、保護者はいじめの相談を受け、いじめがあると思われるときは、学校への通報などの適切な対応をとるものとされています。黙るかどうかではなく、先生にだけ伝える、みんなの前で話題にしないと頼むなど、伝え方を本人と一緒に決めます。
一回だけの仲間外れでも、いじめになりますか?
法律の定義には「何回以上」という決まりはなく、された子が心や体に苦しさを感じているかが大事な点です。ただし、いじめかどうかを判断するのは学校の組織です。親は言い切らず、起きたことをそのまま伝えれば十分です。
幼稚園や保育園での仲間外れは、どうすればいいですか?
いじめ防止対策推進法の「学校」は小学校から高校までで、幼稚園は入っていません。それでも、話の聞き方とメモの残し方は同じです。いつ・どこで・だれが・何をのメモと本人の希望をそえて、園の先生に伝えます。
参考資料・出典
厚生労働省:「消えてしまいたい」というサイン
確認日: 2026年10月28日自殺のおそれがあるときは一人にせず見守り、リスクが切迫するときは速やかに専門家へ相談する案内e-Gov法令検索(デジタル庁):いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号)
確認日: 2026年10月15日第2条のいじめの定義(一定の人的関係のある児童等による心理的・物理的な影響を与える行為で、対象の児童等が心身の苦痛を感じているもの。ネットを含む)、「学校」に幼稚部を含まないこと、第9条の保護者の責務、第23条の相談を受けた者の通報と学校の事実確認文部科学省:いじめの防止等のための基本的な方針(最終改定 平成29年3月14日)
公開・改訂: 2017年3月14日最終改定確認日: 2026年10月15日いじめの具体例に「仲間はずれ、集団による無視」、一定の人的関係に塾やスポーツクラブ等を含むこと、物理的な影響に金品を隠されることなどを含むこと、どの子にも起こりうること、国立教育政策研究所の追跡調査(小4〜中3の6年間で仲間はずれ・無視・陰口の被害経験が全くない子は1割程度)、学校いじめ対策組織の役割、謝罪のみで解消とせず少なくとも3か月を目安とすることAmerican Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org:Why Bullying Hurts All Children—and What Parents Can Do About It
公開・改訂: 2025年確認日: 2026年10月15日仲間外れ(leaving them out of activities)を含む社会的ないじめ、まず何がいつ起きたかを決めつけずに聞くこと、「やめて・離れる・大人に話す」の練習、いじめを子どもによくあることとして片づけないこと文部科学省:「24時間子供SOSダイヤル」について
確認日: 2026年10月15日子どもや保護者が夜間・休日を含め24時間相談できる全国統一の番号0120-0-78310。原則として、かけた場所の教育委員会の相談機関につながる文部科学省:子供のSOSの相談窓口(電話相談窓口)
確認日: 2026年10月15日法務省のこどもの人権110番(0120-007-110、月曜日〜金曜日8時30分〜17時15分)などの電話相談窓口の一覧法務省:こどもの人権110番
確認日: 2026年10月15日受付は平日の8時30分〜17時15分。最寄りの法務局につながり、こどもだけでなく、こどもに関する悩みを持つ大人も相談できる。相談は無料警察庁:ご意見、各種相談・情報提供等
確認日: 2026年10月15日事件や事故の緊急通報は110番、緊急でない相談は最寄りの警察署か#9110とする案内