「うちの子、友達いないのかな」。参観日の休み時間にひとりでいる姿を見たときや、「きょうも誰とも遊ばなかった」と聞いたとき、胸がざわっとすることがあります。
「育て方がよくなかったのかな」「私が人づきあいが苦手だからかな」。そう考えて、自分を責めてしまうかもしれません。でも、友達ができるかどうかは、親のしつけだけで決まるものではありません。クラスの顔ぶれ、好きな遊び、その子のペースなど、いくつものことが重なっています。
それに、ひとりでいる子が、みんな困っているとは限りません。ひとりで本を読む時間が好きな子もいれば、本当は入りたいのに声をかけられない子もいます。どちらなのかで、親ができることはずいぶん変わります。では、どうやって見分ければいいのでしょうか。
この記事では、責めずに聞く言葉、ひとりが好きな子とさみしい子の見分け方、友達と出会う小さな機会のつくり方、先生への聞き方、相談の目安を順に紹介します。
最初の一歩は、友達をつくらせることではなく、本人が困っているかを聞くことです。
子どもに友達がいないのは、困っているとは限らない
ひとりでいる時間が長いことと、本人が困っていることは、同じではありません。まずは「友達がいない」を、二つの場合に分けて考えます。
一つは、ひとりで過ごす時間そのものが好きな場合です。もう一つは、本当はみんなと遊びたいのに、怖さや恥ずかしさで入れない場合です。
「ひとりが好き」と「入りたいのに入れない」はちがう
カナダの研究チームは、3〜5歳の子ども(二つの集団で計246人)を調べました。「遊びたいのに怖くて入れない内気さ」と「そもそも、ひとりで遊ぶほうが好き」を分けて見たのです。親や先生の回答、遊ぶ様子の観察などを比べると、二つにはちがう特徴が見られました。
同じチームは、9〜12歳の367人も調べています。ひとりの時間を好むだけの子は、ひとりで過ごすことの少ない子と比べて、不安や落ち込みなどの困りごとに目立った差がありませんでした。いちばん困りごとが多かったのは、内気さとひとり好きの両方が強い子でした。
見分けるときの手がかりを、この記事で考えた目安として表にしました。研究で使われた質問ではなく、テストでもないので、当てはまる数で決める必要はありません。
| 見るところ | ひとりの時間を楽しんでいそう | 本当は入りたそう |
|---|---|---|
| ひとりでいる時の顔 | 夢中で、落ち着いている | みんなの方をちらちら見ている |
| 友達の話題 | 自分の好きなことの話のほうが多い | 「〇〇ちゃんたちが遊んでた」とよく話す |
| 誘われたとき | 入る時も断る時も、気楽そう | 入りたいのに固まる、あとで落ちこむ |
| 家での様子 | いつもどおり元気 | 学校の話になると口が重い、元気がない |
| 本人の言葉 | 「ひとりがいい」「読みたかった」 | 「入れてって言えない」「さみしい」 |
右の列に当てはまることが多いなら、親の手助けが役に立つかもしれません。左の列に近いなら、「友達をつくりなさい」と急がなくてもよいでしょう。どちらか分からないときは、次の聞き方から始めます。
「友達いないの?」と聞く前に、本人の気持ちを確かめる
いちばん聞きたい言葉は「友達いないの?」かもしれません。でもこの聞き方は、子どもには「いないのはよくないこと」と聞こえることがあります。すると、本当は困っていても「いるよ」と答えてしまうかもしれません。
本当に知りたいのは、友達の数ではありません。知りたいのは休み時間の過ごし方と、それが本人にとって楽しいかです。
責めずに聞ける三つの問い
一度に全部を聞かず、日を分けて一つずつ使います。夕食の後やお風呂など、並んで話せる時間が向いています。
- 「休み時間は、何してることが多い?」
- 「そのとき、楽しい? ちょっとさみしい? どっちでもない?」
- 「誰かと一緒にやってみたいこと、ある?」
二つめの問いは、答えを三つ用意しておくのがコツです。「さみしい?」とだけ聞くと、子どもは親を心配させまいとして、言えなくなることがあります。
「べつに」「わかんない」と返ってきたら、その日はそこで終わりにします。学校の話を少しずつ聞く方法は、「学校どうだった?」に「何もない」と返ってくるときの聞き方にまとめています。
つい言ってしまう言葉と、言い換え
心配な気持ちから出た言葉でも、子どもには「今のままではだめ」と届くことがあります。
| つい言ってしまう言葉 | 子どもにどう聞こえやすいか | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「友達いないの?」 | いないのは恥ずかしいこと | 「休み時間は何してることが多い?」 |
| 「自分から声かけなきゃ」 | できない自分が悪い | 「声をかけるなら、なんて言うのがいいかな」 |
| 「〇〇ちゃんと遊べばいいのに」 | 相手まで親が決める | 「一緒にいて楽な子って、いる?」 |
| 「お母さんは友達多かったよ」 | 比べられている | 「お母さんも、入れなかった日があったよ」 |
| 「ひとりでかわいそう」 | ひとりの自分はだめ | 「ひとりの時間も、楽しかった?」 |
言い換えが毎回うまくいかなくても大丈夫です。言ってしまった後で「さっきは急かしてごめんね」と一言そえるだけでも、次に話しやすくなります。
年齢で変わる友達づきあいと、親の出番
同じ「友達がいない」でも、幼稚園の子と小学校高学年の子では、親が見るところも、できることも変わります。下の表は、親の出番を考えるための目安で、発達の基準ではありません。
| 年齢 | 親が見るところ | 親ができること |
|---|---|---|
| 4〜6歳(保育園・幼稚園) | 「誰と」より「何をして遊んだか」。園で楽しそうか | 先生に遊びの様子を聞く。公園などで、親が近くにいながら短く遊べる場をつくる |
| 小学校低学年 | 休み時間、登下校、班活動の過ごし方 | 好きなことでつながれる場を一つ探す。「入れて」の一言を家で練習する |
| 小学校高学年 | 本人がどうしたいか。グループの変化 | 親が動く前に本人の希望を聞く。先生に話すかどうかも一緒に決める |
アメリカ小児科学会の保護者向け資料は、幼児期には、友達と遊ぶ場に親がいて、様子を見たり手を貸したりできるとしています。この記事では、学年が上がるほど、親が前に出るより本人の考えを聞く時間を増やすのがよいと考えます。
友達がいないのは親のせい?原因は一つではない
「親のせいでは」と心配になる気持ちは、それだけわが子を大事に思っているしるしです。ただ、友達ができにくい理由は、一つに決められません。
たとえば、次のようなことが重なっているかもしれません。
- クラス替えや転校、引っ越しで、まだ顔なじみが少ない
- 好きな遊びが、周りの子とちがう
- 最初の「入れて」の一言が、なかなか出ない
- 遊びの順番やルールで、もめることが多い
- 疲れや眠気で、休み時間は休みたい
- からかいや無視など、つらいことが起きている
アメリカ小児科学会の資料には、こんな考え方があります。大人は「子ども同士で何とかするもの」と考えがちです。でも、友達づきあいは、手本や手助けなしに身につくことはまれです。人づきあいの得意なことは子どもによってちがい、必要な手助けもちがいます。
つまり、親の役目は原因の犯人探しではありません。その子に合う手助けを一つ見つけることです。
友達とトラブルが多いときは、もめる場面を一つ見る
友達がいないのではなく、もめごとが多くて離れていってしまう、という場合もあります。そのときは「乱暴だから」と決めず、もめる直前に何があったかを一つ見てみます。
負けた時に怒りやすいなら、ゲームで負けると怒る子どもへの対応が手がかりになります。急に怒る理由を探したいなら、すぐ怒る小学生の原因の見分け方を読んでみてください。
友達をつくる小さな機会を、親が用意するには
本人が「さみしい」「一緒に遊びたい」と言ったら、親にできることがあります。ただし、友達になるかどうかを決めるのは子ども同士です。親が用意できるのは、出会いのきっかけまでです。
迷ったら、まずは好きなことを通して、一人と、短い時間だけから始めます。大勢のグループより、一人と30分のほうが始めやすい子もいます。
友達と出会う小さな機会の例
- 好きなことが同じ子が集まる場に行く(図書館のおはなし会、地域の工作や自然観察の会など)
- 家や公園に、一人だけ誘って短く遊ぶ(帰る時刻を先に決めておく)
- 学校や地域の行事に、親も少し顔を出して、ほかの親子とあいさつする
- クラスで話題の遊びを、家で一度一緒にやってみる
アメリカ小児科学会の資料も、子どもの友達を家に迎えること、学校やスポーツ、クラブの行事に親が参加することを勧めています。
研究では、カナダの大学の研究チームが、小学4・5年生393人を1年間追った調査があります。お互いに「親友」と思い合う相手がいる子では、からかいなどを受けた後の気持ちや行動の困りごとが、増えにくい傾向が見られました。30年近く前の、限られた子どもたちの研究です。それでも、この記事では「大勢より、まず一人」を目安にしてよいと考えます。
「入れて」の一言を、家で一回だけ練習する
声をかけるのが怖い子には、家で練習してみます。親が遊んでいる役をして、子どもが入ってくる役をします。
- 「入れて」
- 「それ、なに?」
- 「一緒にやってもいい?」
三つのうち、言いやすい一つを選んでもらいます。一回言えたら、その日は終わりです。何度も練習させると、かえって「できない自分」を強く感じることがあります。
もし誘っても断られたら
もし声をかけて断られたら、「断られた」ことより「声をかけた」ことを返します。「言えたんだね」の一言で十分です。
断られる日があるのは、大人も同じです。同じ子に毎日たのむより、別の日、別の遊びで、もう一度ためせば大丈夫です。新しい場所そのものが怖い子には、初めての場所を怖がる子どもへの手順も参考になります。
先生に学校での友達関係を聞くときは、様子をそのまま尋ねる
家ではよく話す子でも、学校での姿は見えません。先生に聞くと、親が知らなかった一面が分かることがあります。
聞くときは「友達はいますか?」より、場面ごとの様子を尋ねるほうが、具体的な答えが返ってきやすくなります。
先生に聞くときの四つの場面
- 休み時間:何をしていることが多いか。楽しそうか
- 班活動や給食:話す相手はいるか。困っていそうな時はあるか
- 登下校や移動教室:ひとりで不安そうな様子はないか
- 先生が見て、楽しそうに見えるのはどんな時か
家からも、ひとつ情報を渡します。「家では虫の図鑑の話をよくします」「休み時間がさみしいと一度言いました」のように、好きなことと本人の言葉をそのまま伝えると、先生も気にかけやすくなります。
先生に話すことは、先に本人に伝えておきます。高学年なら、「先生に話してもいい?」と聞いてから動くと、親子の信頼を保ちやすくなります。学校と家の様子のつなぎ方は、小学生が学校で泣くときの先生との連携も参考になります。
「友達いないの?」を飲みこんだ日|ひよりの休み時間
参観日、休み時間にひよりが窓ぎわでひとり、図鑑を読んでいました。帰り道、けいすけは聞きたいことで頭がいっぱいでした。
けいすけは、帰り道ずっと「友達をつくらせなきゃ」と考えていました。でも、ひよりにとって、ひとりで読む時間はさみしい時間ではありませんでした。さみしいのは、ドッジボールの日だけだったのです。
この場面で変わったのは、目標の大きさです。「友達をつくる」から、「ひよりが選んだ一言を、一回だけ」へ。親はそのうえで、先生に休み時間の様子を聞くことにしました。
友達がいないことに、いじめが隠れていないかを見るサイン
友達がいないように見える裏に、つらい出来事があることもあります。からかいや無視、物を隠されるといったことです。子どもは恥ずかしさから、自分からは話さないことがあります。
アメリカ小児科学会の資料は、いじめを受けているかもしれないサインとして、次のような様子を挙げています。ほかの理由で起きることもあるので、決めつけず、責めずに話を聞くきっかけにします。
- 頭痛やおなかの痛みを、よく言う
- 食べ方が変わった
- 学校や、友達と会う場所をいやがる、避ける
- 成績が急に下がった
- 説明できないけががある
- 物がなくなる、こわされて帰ってくる
- 眠れない、こわい夢をよく見る
- 急に友達がいなくなった、楽しかった友達づきあいがつらそう
厚生労働省も、子どもの心のSOSは、睡眠・食欲・体調・行動に出やすいとしています。行動のサインの一つに「友達と遊ばなくなった」があります。気にかけたいのは、もともとひとりが好きな子より、前はできていたことが急にできなくなった子です。
いじめかもしれないと感じたら、まず「話してくれてありがとう」と受け止め、学校に相談します。夜や休日に相談したいときは、子どもも保護者も使える「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)があります。かけた場所の教育委員会の相談機関に、原則としてつながる仕組みです。
友達がいないのは発達障害?相談したほうがいい目安
「友達がいない 発達障害」と検索して、不安になった人もいるかもしれません。でも、友達づきあいの様子だけでは、発達の特性があるかどうかは見分けられません。内気さ、環境の変化、好きなことのちがいなど、ほかの理由でも同じように見えるからです。
気になるときは、検索で答えを決めず、相談先で一緒に見てもらいます。相談するのに、診断名の見当をつけておく必要はありません。
子どもに友達がいないときに、相談を考える目安
すぐに相談・受診
- 「死にたい」「消えたい」と話す、自分を傷つけている
- けがをさせられる、物やお金を取られるなど、身の安全が守れない
早めに相談
- からかい、無視、物を隠されるなど、いじめをうかがわせる話がある
- 学校や園に行きたがらない日が続く
- 頭痛や腹痛、眠れない、食欲がないなど、体のサインが続く
- 前は友達と遊んでいたのに、急に遊ばなくなった
- 本人が「さみしい」「つらい」と話し、家でも元気がない日が続く
記録しながら相談を検討
- ひとりの時間を楽しんでいて、学校や園には通えている
- 好きなことの話を、家では楽しそうにできる
- 家族や先生など、安心して話せる大人がいる
自殺のおそれがあるときは子どもを一人にせず、医療機関などへ急いで相談します。命に関わる緊急時は119番です。友達づきあいの相談先は、担任の先生、養護教諭、スクールカウンセラー、かかりつけの小児科、市区町村の子育て相談や発達相談などです。いじめのおそれがあるときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)に、子どもも保護者も相談できます。
どこに相談すればいいか迷うときは、子育ての悩みの相談先を、急ぐ度合いで選ぶ記事で、窓口ごとの役割を見比べられます。
今夜できることは一つだけです。「休み時間は、何してることが多い?」と聞いて、答えが何でも「そうなんだ」と受け取ってみてください。友達の数を変えるより先に、話しやすい親子の時間が一つ増えます。
子どもに友達がいないときのよくある質問
子どもに友達がいないのは、親のせいですか?
親のせいと一つに決めることはできません。クラス替えや転校、好きな遊びのちがい、最初の一言の出にくさなど、いくつものことが重なっています。原因探しより、本人が困っているかを聞き、その子に合う手助けを一つ選ぶことから始めます。
ひとり遊びばかりでも、大丈夫ですか?
本人がひとりの時間を楽しんでいて、学校や園に通えていて、家でも元気なら、急いで友達をつくらせなくてもよいでしょう。前はできていたのに急に遊ばなくなった、体のサインが続くといった変化があるときは、学校や相談先に相談します。
友達がいないことを、先生に相談してもいいですか?
相談してかまいません。「友達はいますか」より、休み時間、班活動、登下校など場面ごとの様子を聞くと、具体的な答えが返ってきやすくなります。先に本人に伝え、高学年なら話してよいかも聞いてから動きます。
子どもに友達がいないのは、発達障害のせいですか?
友達づきあいの様子だけでは、発達の特性があるかどうかは見分けられません。内気さや環境の変化など、ほかの理由でも同じように見えます。気になるときは、かかりつけの小児科、市区町村の発達相談、スクールカウンセラーなどに相談します。
親が友達をつくってあげてもいいですか?
出会いのきっかけを用意することはできますが、友達になるかを決めるのは子ども同士です。本人の希望を聞き、好きなことが同じ子と、短い時間だけ遊べる場を一つつくるくらいが始めやすい大きさです。
参考資料・出典
厚生労働省:「消えてしまいたい」というサイン
確認日: 2026年10月28日自殺のおそれがあるときは一人にせず見守り、リスクが切迫するときは速やかに専門家へ相談する案内American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org:What Parents Can Do to Support Friendships
公開・改訂: 2014年確認日: 2026年10月15日幼児期に親が遊びの場にいること、友達づきあいは手本や手助けなしに身につくことはまれで、子どもによって必要な手助けがちがうこと、友達を家に迎えることや行事への参加を勧める保護者向け資料Developmental Psychology:Do you "want" to play? Distinguishing between conflicted shyness and social disinterest in early childhood
公開・改訂: 2004年確認日: 2026年10月15日カナダの大学の研究チームが、3〜5歳(119人と127人の二つの集団)で、遊びたいのに怖くて入れない内気さと、ひとりを好む傾向を分けて調べた研究Developmental Psychology:Alone is a crowd: social motivations, social withdrawal, and socioemotional functioning in later childhood
公開・改訂: 2013年確認日: 2026年10月15日カナダの大学の研究チームによる、9〜12歳367人の研究。ひとりを好むだけの子は内面の困りごとに目立った差がなく、内気さとひとり好きの両方が強い子で困りごとが最も多かった。ある時点のつながりを見た研究Developmental Psychology:The power of friendship: protection against an escalating cycle of peer victimization
公開・改訂: 1999年確認日: 2026年10月15日カナダ・ケベックの大学の研究チームが、小学4・5年生393人を1年間追った研究。互いに親友と認め合う相手がいる子では、からかいなどを受けた後の困りごとが増えにくかったAmerican Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org:Why Bullying Hurts All Children—and What Parents Can Do About It
公開・改訂: 2025年確認日: 2026年10月15日いじめを受けているかもしれないサイン(頭痛・腹痛、食べ方の変化、学校を避ける、急に友達がいなくなる等)と、決めつけずに話を聞く進め方厚生労働省:こころのSOSサインに気づく
確認日: 2026年10月15日子どもの心のSOSは睡眠・食欲・体調・行動に出やすく、行動のサインの一つに「友達と遊ばなくなった」があること。サインが続くときは早めに専門家へ相談する考え方文部科学省:「24時間子供SOSダイヤル」について
確認日: 2026年10月15日子どもや保護者が夜間・休日を含め24時間相談できる全国統一の番号0120-0-78310。原則として、かけた場所の教育委員会の相談機関につながる