学習・好奇心

子どもが勉強しない・やる気がないとき|「勉強しなさい」の代わりにできること

子どもが勉強しないのは、やる気がないからとは限りません。「勉強しなさい」が効きにくい理由、始めるまでの量・時間・場所の下げ方、できたことの認め方、成績で比べない声かけ、相談の目安を例で紹介します。

公開日
最終更新日
対象
6〜12歳
教材の前で困っているひよりの話を待つまどか

「勉強しなさい」「あとでやるって言ったでしょ」。子どもが勉強しない毎日に、同じ言葉をくり返して、ぐったりしていませんか。言うほどに子どもは動かなくなり、最後は親子で言い合いになる。そんな夕方を何度も過ごしてきたかもしれません。

「私の言い方が悪いのかな」「このまま勉強しない子になったらどうしよう」。そう不安になるのは、子どもの将来を本気で考えているからです。それに、勉強しないのは、親のせいとも、子どものやる気不足とも限りません。

勉強しない理由は、子どもによってちがいます。難しくて手が止まっている子、始め方が分からない子、疲れている子、「やらされている」と感じている子。理由が分かれば、かける言葉も変わります。

この記事では、理由の見分け方、「勉強しなさい」が効きにくいわけ、始めるハードルの下げ方、できたことの認め方、比べない声かけ、相談の目安を順に紹介します。

目指すのは「勉強させる」ことより、子どもが自分から始める回を一つ増やすことです。

子どもが勉強しないのは、やる気がないからとは限らない

子どもが勉強しないとき、親の目には「やる気がない」と映りがちです。でも、外から同じに見えても、中で起きていることはちがいます。

下の表は、よくある様子と、そこから考えられること、まず試すことをまとめたものです。当てはまる行が一つとは限りません。

勉強しない子どもの様子と、考えられること
子どもの様子考えられることまず試すこと
教科書を開いても手が止まるどこかで分からなくなっているどこで止まったかを一緒に見る
「あとで」と言って始めない始め方や量の見通しが立たない最初の1問だけに量を減らす
帰ってくるとぐったりしている疲れや眠気、空腹おやつや休みの後に時間をずらす
言われるほど反発する「やらされている」と感じている時間や順番を本人に選んでもらう
「どうせできない」と言ううまくできない自分を見たくないできるところから始め、できたやり方を返す
前より元気がなく、何もしたがらない学校や友達のことなど、別の悩み勉強の話を止めて、様子を聞く

「どうせできない」が口ぐせなら、すぐ諦める子どもへの声かけが役に立ちます。最後の行のように、勉強だけでなく全体に元気がないときは、後半の相談の目安も見てください。

ゲームや動画をやめられなくて勉強しないとき

「ゲームが終わったらやる」が、なかなか終わらない。これもよくある場面です。このときは、勉強とゲームのどちらを先にするかを、落ち着いている時間に本人と決めておきます。

ゲームを先にするなら、終わる時刻と、終わったあとの最初の一動作(「ノートを開く」)までを決めます。遊びの終わり方そのものに困っているなら、遊びをやめられない子どもへの対応の手順が使えます。

「勉強しなさい」が効きにくいのはなぜ?自分で決める感覚から考える

「勉強しなさい」は、親にとっては一番まっすぐな言葉です。でも、何度も言うほど、子どもが動かなくなることがあります。

その理由を考える手がかりの一つが、自己決定理論という心理学の考え方です。この理論では、人には「自分でできる感じ」「自分で決めている感じ」「人とのつながり」を求める気持ちがあると考えます。これらが満たされるとやる気が高まりやすく、妨げられると下がりやすい、とされています。

研究で分かっていることと、その限界

小学生から大学生までを対象にした144の研究、7万9千人以上をまとめた分析があります。自分から学ぶ気持ちといちばん強く結びついていたのは「自分でできる感じ」で、次が「自分で決めている感じ」、その次が「つながり」でした。

「やりなさい」の代わりに、選べる形で聞く

命令をやめて放っておく、という意味ではありません。やることは決まっていても、本人がいつ・どこで・どれからを選べるようにします。

  • 「おやつの前と後、どっちにする?」
  • 「リビングと自分の机、どっちでやる?」
  • 「算数と国語、どっちからにする?」

選ぶ数は二つまでにします。選択肢が多いと、選ぶこと自体が負担になる子もいます。

勉強を始めるまでのハードルを下げる|量・時間・場所

取り組む紙を一枚にし、鉛筆を手に取るひより

勉強でいちばん大変なのは、始める瞬間かもしれません。始めてしまえば続けられる子もいるので、まずは入口を低くします。

迷ったら、まずは最初の1問だけから始めます。1問できたらそこでやめてもいい、と先に約束します。研究で「できる感じ」がやる気と強く結びついていたことを思い出してください。この記事では、小さくても「できた」から始めることをすすめます。

勉強を始めるハードルを下げる三つのつまみ

  • 量:最初は1問、1ページ、5分など、必ずできる量にする
  • 時間:始める時刻を本人と決める(「おやつの後」「時計の長い針が6になったら」)
  • 場所:机の上を空にする。親の目が届くリビングでもよい

時間の見通しが苦手な子には、残り時間が目で見えるタイマーが役立つこともあります。使い方は切り替えにタイマーは効くかを比べた記事にまとめています。

最初の一動作を決めておく

「勉強を始める」は、実はたくさんの動きのかたまりです。かばんを開ける、ノートを出す、ページを探す、名前を書く。最初の一つだけを決めておくと、動き出しやすくなります。

たとえば「ノートを開いて、日付を書く」。それができたら、もう始まっています。

もし始めても5分で止まったら

もし5分で手が止まったら、責めずに「どこで止まった?」と聞きます。分からない問題で止まっているなら、その1問を一緒に読みます。疲れているなら、「今日はここまで。続きは明日の1問目から」と区切ってかまいません。

途中でやめるのは失敗ではありません。次に始める場所が決まっていれば、明日の入口はもっと低くなります。

勉強のやる気をそぐ言葉と、言い換えの例

心配から出る言葉でも、子どもには「責められている」と届くことがあります。よくある言葉を、言い換えてみます。

勉強しない子に、つい言ってしまう言葉と言い換え
つい言ってしまう言葉子どもにどう届きやすいか言い換えの例
「早く勉強しなさい」自分で決める余地がない「何時から始める?」
「何回言ったら分かるの」自分はだめな子「始めるの、何が大変?」
「〇〇ちゃんはもう終わってるよ」比べられて悔しい「きのうより早く始められたね」
「勉強しないと将来困るよ」先が遠すぎて実感がない「この1問、一緒に読んでみようか」
「やる気あるの?」気持ちを疑われている「今日は疲れてる?」

言い換えが毎回うまくいかなくても大丈夫です。言いすぎたと思ったら、「さっきは急かしてごめんね。何時からにする?」と言い直せば、話はまたつながります。

勉強でできたことは、結果より「やり方」を具体的に認める

子どもが勉強できたら、「えらいね」「すごいね」の一言で終わらせず、何がよかったのかを具体的に返します。大事なのは点数より、やり方です。

  • 「分からない問題に印をつけて、先に進めたね」
  • 「間違えたところを、自分で見直したんだね」
  • 「きのうより5分早く始められたね」
  • 「この式、どうやって考えたの?教えて」

最後の「教えて」は、特におすすめです。アメリカ小児科学会の保護者向け資料は、その日の出来事を話す時間が、子どもが学んだことを親に「教え直す」機会になると書いています。教える側にまわると、自分が分かっているところに気づけることもあります。

言葉の例は、具体的に褒める声かけ例にまとめています。過程の見つけ方は、子どもの努力を褒める方法が参考になります。

勉強の成績で、きょうだいや友達と比べない

テストの点が気になるのは、親として自然なことです。ただ、成績をきょうだいや友達と比べる言葉は、「自分でできる感じ」を下げてしまうおそれがあります。比べる相手はきのうの本人にします。

テストが返ってきたときは、次の順番で話すと、責める話になりにくくなります。

  1. 「見せてくれてありがとう」と受け取る
  2. できた問題を一つ見つけて、どう解いたかを聞く
  3. 間違えた問題から、一つだけ一緒に見直す
  4. 次に試すことを、本人に一つ決めてもらう

子どもが自分から友達と比べて落ち込んでいるときは、友達と比べる子どもへの声かけも参考になります。

年齢で変わる、勉強との付き合い方

同じ「勉強しない」でも、低学年と高学年では、親の関わり方が変わります。下の表は、この記事で考えた目安です。

学年ごとの、勉強への親の関わり方の目安
学年始め方親の関わり方
小学校低学年親の近くで、短い時間から。始める合図を決める一緒に座る。できたやり方をその場で返す
小学校中学年始める時刻と順番を、本人が選ぶ近くにいて、止まったときだけ手伝う
小学校高学年1週間の予定を、本人が立てる計画を一緒に見直す相談役にまわる

低学年のうちは、親がそばに座るだけで始めやすくなる子もいます。親が本を読んだり書き物をしたりしていると、「一緒にやっている」感じが生まれることがあります。アメリカ小児科学会の資料も、親が読む姿を見せることをすすめています。

高学年になると、親が言うほど反発することも増えます。その場合は、親が決める部分を減らし、本人の計画を聞く時間に変えていきます。

「もう勉強いや」と言ったひよりと、ひき算3問の約束

夕方、ひよりが算数のテストを持ち帰りました。ランドセルを床に置いたまま、動きません。

ひよりは、ますます黙りこみました。まどかは、テストを一緒にめくりながら聞きました。

ひよりは、たし算の解き方をけいすけに説明し始めました。けいすけは途中で口をはさまず、最後まで聞きました。

そのあと、家族は一つだけ約束を決めました。ひよりが選んだのは、「ひき算を3問だけ、リビングで、夕食の前に」。1週間ためして、できた解き方をそのつど言葉で返すことにしました。

この場面で変わったのは、問題の大きさです。「算数ぜんぶ」から「くり下がりのひき算」へ。「毎日30分」から「3問」へ。小さくなったことで、ひよりは自分で始められる入口を見つけました。

勉強しない子にイライラ・疲れたときは、親も休む

毎日「勉強しなさい」を言い続けるのは、親にとっても大きな負担です。イライラするのは、あなたが真剣に向き合っているからです。

疲れたときは、次のどれか一つを試してみてください。

  • 勉強の声かけを、1日1回だけにする
  • 声をかける役を、家族で交代する
  • 勉強の話をしない日を、週に1日つくる
  • 気になることを、担任の先生に相談してみる

声を荒らげてしまいそうなときは、子育てのイライラが止まらないときの順番も参考になります。

先生に相談するときに伝えること

家での様子を、事実で伝えると話が早くなります。たとえば「始めるまでに30分かかる」「文章題になると手が止まる」「音読は嫌がらない」などです。そのうえで、「授業中はどんな様子ですか」と聞きます。家と学校の両方を合わせると、どこでつまずいているかが見えやすくなります。

勉強しないのは発達障害や病気?相談の目安

「勉強しない 発達障害」「やる気がない 病気」と検索して、不安になった人もいるかもしれません。でも、勉強しない様子だけでは、発達の特性や病気があるかどうかは見分けられません。

文部科学省は、学習障害をこう説明しています。全体的な知的発達に遅れはないのに、聞く・話す・読む・書く・計算する・推しはかる力のうち、特定のものを身につけたり使ったりすることが、とても難しい状態です。たとえば、ほかの力は年相応なのに、何度練習しても読むことだけがとても難しい、といった場合です。こうしたことは、家庭だけでは分かりません。

また厚生労働省は、子どもの心のSOSは睡眠・食欲・体調・行動に出やすいとしています。朝なかなか起きられない、何もしないで長くぼんやりしている、といった様子もサインの一つです。

勉強しない・やる気がないときに、相談を考える目安

すぐに相談・受診

  • 「死にたい」「消えたい」と話す、自分を傷つけている

早めに相談

  • 読む、書く、計算するなど、特定のことだけが練習してもとても難しい
  • 勉強だけでなく、遊びや好きなことにも元気がない日が続く
  • 眠れない、朝起きられない、食欲がないなど、生活の変化が続く
  • 学校に行きたがらない、腹痛や頭痛をくり返し言う

記録しながら相談を検討

  • 好きなことには集中でき、毎日は元気に過ごせている
  • 量を減らしたり時間を選ばせたりすると、少しずつ始められる
  • 学校の先生から、授業中の様子で気になることは言われていない

死にたいという言葉や自傷があるときは、勉強の相談より先に気持ちを聞き、医療機関などにつないでください。自殺のおそれがあるときは一人にせず、命の危険が迫り救急の助けが必要なら119番です。学習面の困りごとは、担任の先生に授業中の様子を聞くところから相談できます。特定の学び方の難しさが気になるときは、学校の特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラー、市区町村の教育相談・発達相談、かかりつけの小児科に相談できます。

今夜できることは一つです。「勉強しなさい」の代わりに、「何時から始める?」と聞いてみてください。答えが「あとで」でも、時刻を一つ決められたら、それが最初の一歩です。

子どもが勉強しないときのよくある質問

勉強しない子どもは、放っておいてもいいですか?

まったく放っておくのでも、毎日言い続けるのでもなく、その間を探します。いつ・どこで・どれからを本人に選んでもらい、量を「1問だけ」に減らして、始める入口を低くします。親は近くにいて、止まったときだけ手伝います。

勉強しない子どもに、勉強させる方法はありますか?

誰にでも効く方法はありませんが、始めるハードルを下げると動きやすくなる子はいます。量を1問に減らす、始める時刻を本人と決める、机の上を空にする、の三つから一つ試します。できたら、点数よりやり方を具体的に認めます。

子どもが勉強しないのは、親のせいですか?

親のせいと一つに決めることはできません。難しさ、疲れ、始め方の分からなさ、別の悩みなど、理由はいろいろです。研究でも、親の関わりは量より関わり方が大事だと論じられ、先生の関わりがやる気と強く結びつくという分析もあります。責める相手を探すより、理由を一つ見つけます。

子どもにやる気がないのは、病気や発達障害のせいですか?

やる気がない様子だけでは分かりません。特定のことだけが練習してもとても難しい、遊びにも元気がない日が続く、眠れない・食欲がないといった変化があるときは、担任の先生、スクールカウンセラー、市区町村の相談窓口、小児科に相談します。

参考資料・出典

  1. 厚生労働省:「消えてしまいたい」というサイン

    確認日: 2026年10月28日自殺のおそれがあるときは一人にせず見守り、リスクが切迫するときは速やかに専門家へ相談する案内
  2. American Psychologist:Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being

    公開・改訂: 2000年確認日: 2026年10月15日自己決定理論の総説。有能感・自律性・関係性の三つの心理的欲求が満たされると自分からのやる気が高まり、妨げられると低下するという考え方
  3. Review of Educational Research:Pathways to Student Motivation: A Meta-Analysis of Antecedents of Autonomous and Controlled Motivations

    公開・改訂: 2022年確認日: 2026年10月15日小学生から大学生までの144研究・7万9千人以上のメタ分析(対象の平均年齢16.55歳)。自分からのやる気を最も強く予測したのは有能感、次に自律性、関係性。先生の自律性支援のほうが親より強く関連。相関研究で因果は言えないと著者が限界を明記
  4. Review of Educational Research:The How, Whom, and Why of Parents' Involvement in Children's Academic Lives: More Is Not Always Better

    公開・改訂: 2007年確認日: 2026年10月15日アメリカの研究者による総説。親の学習への関わりは、量より「どう関わるか」が成果を大きく左右すると論じる。要旨は出版社がCrossrefに登録した情報と、米国教育省のERIC(EJ782048)で確認
  5. American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org:How to Reinforce Your Child's Learning

    公開・改訂: 2016年確認日: 2026年10月15日その日の出来事を話す時間が、子どもが学んだことを親に教え直す機会になるという保護者向けの助言
  6. 文部科学省:学習障害児に対する指導について(報告)

    公開・改訂: 1999年7月確認日: 2026年10月15日学習障害は、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態とする定義
  7. 厚生労働省:こころのSOSサインに気づく

    確認日: 2026年10月15日子どもの心のSOSは睡眠・食欲・体調・行動に出やすいこと。朝起きるのがつらい、何もしないで長い間ぼんやりしているなどのサインと、続くときの専門家への相談

あわせて読みたい記事